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PICを使用した電圧計の製作

発端

秋葉原で、ICL7136という電圧計用のICが売られていた。このICはわずかな外付け部品で3+1/2桁の電圧計を作れるという便利な物だ。安いので作ってみようかなと思ってWebで調べたら、どうやらスタティックLCDのみの対応のようだ。スタティックLCDは入手性が悪いし、高いので、LEDを使えないかと思ったが無理そうだ。そこで、これに相当するような機能を持った電圧計をPICで作れないかと検討してみた。
免責事項
当製作記事により生じたいかなる損害も当方は一切責任を負いません。
自己責任でのご利用をお願いします。

構想

ICL7136の主な仕様は次の通り。
とりあえず、自分の考えた設計仕様は

PICの選定

積分型A/Dの方がノイズに強いようなのだが、なかなか入手できないし、マイコン内蔵のA/Dコンバーターはほとんどが逐次A/Dなので、これを使うことにした。通常PICに内蔵されているのは10ビットのA/Dコンバーターなのだが、そうするとフルスケール20.00に対して分解能が足りなず、最下位桁は2ずつしか変わらないことになる。PICも24ビットの物だと12ビットのA/Dコンバータ内蔵の物もあるが、いろいろ探したところ、最近出てきたPIC18F25K80というのが12ビットA/Dコンバータ内蔵であり、PIC24よりも若干安いので、これを使用することにした。12ビットあれば4095LSBなので、フルスケール20.00の倍の分解能がある。

ブレッドボードでの検討

とりあえずブレッドボードに組んでみた。


回路図は以下のとおり。(一部、上記画像の回路と異なります。クリックで拡大。)

<説明>
マイコン部 PIC18F25K80を使用。12bit ADCを内蔵し、秋葉原で入手可能な唯一の8ビットPIC。
PICマイコンはリセット回路を省略可能というが、確実性を高めるためCRのリセット回路を外付けする。
ダイオードは電源が0Vになったときにコンデンサをすばやく放電するために必要。
空きピンはすべてオープンにし、プログラムでLow出力に設定する。
表示部 4桁青色LEDを使用。通常はコモン信号をトランジスタ等でドライブするが、以下の理由で省略。
・PICのI/Oポートはドライブ能力が高く、PIC18F24K80のRB,RCポートの出力電流の絶対最大定格は25mA。かつすべてのポートの合計で200mA。
・このLEDは高輝度で2mA流せばまぶしいくらい光る。
・2mAなら小数点を含め8個同時に点灯させても16mA。
・16mA<200mAなのでマージンが10倍以上あり問題なし。
リファレンス TL431を使用し、外部抵抗を付加することによりにより4.096Vを生成。
電圧入力 20Vフルスケールになるように、1/5に分圧。PIC18F25K80の仕様から、出力インピーダンス<2.5kΩにする必要がある。
汎用性を持たせるならオペアンプでバッファした方がいいが、この回路は可変電源の出力電圧測定を想定しているため、若干インピーダンスが低いが回路を簡略化するためこの定数とした。
PICの入力保護にクランプダイオードを付加。
電源 可変電源に使用することを想定しているため、高い電圧を入力できるNJM2930Lを選択。
入出力間のダイオードは、入力電圧<出力電圧となったときにレギュレータ内部のトランジスタを破壊から保護するためのもの。

改訂履歴

2012.12.13 初版
2014.03.09 回路図追加

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